2011年11月7日月曜日

山中慎介が世界チャンピオンに!


世界タイトル挑戦者決定戦に出場する山中の耳に、記者会見の10分前に驚くべき情報が飛び込んでくる。

「本当ですか?」

王者のベルト返上に伴い、前哨戦がチャンピオン決定戦へと変更されたのだ!

前戦で国内最強決定戦とも言える岩佐との激闘を制した山中は、すでにそんじょそこらの挑戦者よりも資格充分といえるだろう。

誰もがこの変更に納得いくほどの激戦をクリアしてきた男が、旬の時期に世界に挑戦できる、これだけでワクワクしてしまう。

開始ゴング、山中のフォームの美しさが際立っている。時に被弾するのだが反応した末に食っているので浅い。なにより食ったとしても山中は簡単に姿勢を崩さない。
セコンドの大和心が現役時代、そうやって戦い続けたなぁ…。顔色変えないバックステップはそっくり、加えて大和にはなかった強い左ストレートが山中最大の特徴である。

対するエスキベルはパンチにキレがあり、危険な香りプンプン。焦って割り込もうとすると危ないぞ、これは…。
山中はそれはそれは慎重にタイミングを計り続けた。ラウンドに一度は見せ場を作るべく集中しているのがわかる。

このメキシカンが中盤以降に落ちてくるのは明らか、我慢すべき序盤を正しく我慢して戦う姿勢に光が差してくる。
徐々に好打が目立ち始め、流れが山中に…?と思った瞬間だった。山中はダウンといわれても仕方ない、スリップダウンを喫してしまう。

頑丈そうなエスキベルは相打ちを怖がらないタイプ、安易に攻め込むとこうやって手痛い拳が飛んでくるのだ。
積み上げたポイントが無慈悲な一撃で一気に無になってしまう、何度も見てきた世界の壁、今日も繰り返されるのだろうか…。

不穏な空気に包まれた会場だったが、山中はポーカーフェイスで立ち上がり、再び慎重なボックスでチャンスを狙う展開に戻る。

これでいい、これで…。この落ち着きは若くない山中にとって最高の武器だ。

チャンスとばかりに圧力を強めてアクセルを踏むエスキベルだが攻め口は単調。要所に山中の巧打を受け、疲れとダメージから動きが落ちていく。

さあ、ついにこっち、山中の番と言えるだろう。ガードの落ちてきた相手に温存しておいた力強い左ストレートをねじ込んでいく。

単発が当たると次はコンビネーション、早い!だけじゃない! ホーミングも効いていて追っかけで3発目も当てにいっているのにウットリ…。
国内じゃ西岡レベル、いや西岡よりも速い?(西岡見るとまた「はやっ」と思うんだろうが…)

6Rに軽いダウンを奪い、7Rも追撃を決めロープからロープへ追い立てる。
(あっ!)
心配していた逆襲の一撃、腰砕けのダウンを食うが、山中は何事もなかったかのように止まらない。何事もなかったのだ!となぜか納得させられるほどの落ち着きぶり、なにがあろうとペースはもう完全に山中が握っているのだろう。

エスキベルのフォームが壊れ、もはや追ってくる足はない。後は動ける山中の選択次第、判定まで流すか、攻めて倒すかの二択だ。

山中が世界チャンピオンの名乗りを受けるのは間違いない展開…。だったが、ここでまさかの珍ハプニングが発生する。

11R開始と同時に停電…(ドリフじゃないんだから♪)。

中断の間、座って休むエスキベルが回復するのでは?と心配されたが、試合中に数分とはいえ、体育座りをした男が再び闘志を燃やせるはずもない。

試合再開から数秒、後ろを向いて戦意喪失してしまう(もしかしたら眼底骨折していたかもしれない)。

ダウンから立ち上がる相手を山中は満面の笑顔で見守った(鬼塚vs中島、返り血を浴びた鬼塚に張り付いた笑顔は怖かった)。もう歓喜の時が近い、という確信があったのだろう。

大柄なレフリーが作る死角に立ち、再開の合図と同時に飛び出す準備。夢の舞台、しかもファイナルシーン。なんて落ち着いているんだ!

再び後ろを向かせた時点で山中は世界チャンピオンとなった。素晴らしいとしか言いようがない獲得劇だった。

相手のエスキベルも頂点を争う相手として不足はなかった。が、忘れてならないのは今回は王座決定戦だったという点である。
チャンピオンから奪ったのではない、言い方は悪いが「落ちていたベルト」。

ここからベルトの価値を決める真のロードが始まるのだ!
まだまだ山中には立ち止まって欲しくない!

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ボクシングの街「山中慎介」ページもご覧ください。
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